そうだ!この本があった。

発行は少し前(2014年)になりますが、猫と時代小説が好きな人なら、楽しめるはず。

江戸猫ばなし (光文社文庫) [ 光文社 ]
江戸猫ばなし (光文社文庫) [ 光文社 ]

アンソロジーです。
著者は、赤川次郎、稲葉稔、小松エメル、西條奈加、佐々木裕一、高橋由太、中島要。
時代小説的に見ると、大家は入っていませんが、いずれも実力者。
しかも、たぶんだけど全員猫好き。というか、猫の事よーく分かっていて時代の中にうまく猫をとけ込ませていて無理がなく、いずれも猫無しには成立しない、堂々たる猫小説(猫ばなし)になっています。

「主」 赤川次郎
少し怪奇色のある時代小説ですが、人間に助けを求めて、言葉を話す三毛猫が、愛らしく哀しい。

「仕立屋の猫」 稲葉稔
仕立屋で気ままに暮らしている茶色いトラ猫のおたまは、自らは何もしない。しかし、おたまは仕立屋の仕事を招く招き猫でもあり、主人おりつの縁談をうまくまとめる福猫。だが、そんなことを意識もせず、日々顔を洗い、昼寝に勤しむのであった…。

「与市と望月」 小松エメル
与市と旅をするサビ猫の望月は、絵に入ったり出たりできる妖怪でありながら、からきし意気地がない臆病もの。その二人が、鉄鼠という化けネズミと対決したことで、改めて互いの絆を強くするのであった。

「猫の傀儡」 西條奈加
ミスジ、2才の雄ネコ、白黒だが額に三本のスジがあり顔を引き締めている。この猫は、人を操る猫の傀儡師だ。一匹の猫に操られる人間は一人と決まっている。
条件は①ヒマであること②勘がよいこと③好奇心を持つこと④猫好き…。
ヒトとネコは力を合わせて犯人を突き止め、一人娘の恋をかなえる。

「ほおずき」 佐々木裕一
人生に疲れ、やる気なく、空腹を抱えるだけの夢ノ助。時々がらんとした部屋に白に茶のぶち猫が訪ねてくるほかは、家賃の催促に来る大家ぐらいしか、人は来ない。その飼い猫ほおずきが二人の縁を結ぶ。

「九回死んだ猫」 高橋由太
佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」のオマージュ。主人公はただ、猫と呼ばれ、9回の生を生き、最後に黒猫と出会う。佐野さんの猫と違うのは、猫の最後の願いは、今まで自分を飼ってくれた飼い主に会って、ありがとう、ということだった…が。

「鈴の音」 中島要
秀才故に、商家の出ながら武家の養子となり、将来を嘱望されていた友國。しかし彼は白猫を抱いて、前島家を追い出されてきた。その猫に惚れている、といい、「幸せとは、広い屋敷に住むことでも裕福な暮らしをすることでもない。惚れた相手と寄り添って、穏やかに眠ることだと私は思う」というのだった。



・・・調子に乗って、あらすじ紹介的な事までしてしまったけど。
ちょっと古めの本だから、良いですよね?
各短編、全部気に入ってます。
あえて言うなら、「与市と望月」でしょうか。
そして、わが家のネコとヒトもこうありたいと思うのは、「猫の傀儡」かな。

たぶん、江戸の人達のあいだでも、猫は気ままに暮らしているようで、しっかりと根の張った自分の位場所を確保していたのだと思います。(思いたい)
そして、声にならない人々の思いを、たくさんたくさん受け止めてきたんだと…


猫がいるのと、いないのとでは、家の中の空気がぜんぜん違いますものね。

うん

具合が良くない時でも、こんな風に見上げてくるネコの目と合っただけで、シャンとしてきますよ。

そして、ネコは。

手が招き猫

かなり無理がありますが、これ、手が招き猫のつもり。

そう。
その家に福をもたらすのです。
(言い切ってしまったけど、反論は認めましぇん!)






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